随想の細道

日常の感動を感ずるままに綴っています。よろしければ、ご覧ください。

人生の道しるべ

愛(御木徳近教祖)
男性と女性と言えば、誰もがすぐ連想するのが、愛情の問題でしょう。愛憎と言ったほうがむしろ適切かもしれませんが・・・・・。つまり、それくらい男女の愛の問題は、複雑で、やっかいで、不可思議なものなのです。それだけに、わたしたち人間の心をつかんで、放してはくれないのでしょう。この世に生を受けて、生きているかぎり、愛の問題をさけて通ることはできないものなのでしょう。どんなに世の中が進んでも、「愛してるよ」、「愛してるわ」という言葉ではじまる、愛憎の実体に人間はよわいものです。悩み、苦しみ、ときとして生きることに絶望を感じたりします。またそうした苦悩の何倍も強い、と思える勇気や歓喜をおぼえたりします。

ところで、それだけわたしたちの生に深くかかわりあった「愛」の実体にメスを入れてみるとたいていの人が案外なところに気づいていないことがわかってきます。それは、愛するという行為(または心情)は男性も女性も、同質のものだと考えている点です。つまり「愛」は「愛」であって、男の愛とか、女の愛とかいうふうに区別できるものではない、という考えです。ところがその考えは、実はまちがった考えなのです。男性が女性に対する愛情は、これはいわゆる一般的に考えられているような「愛」なのです。が、女性が男性に対する愛は、基本的にはそれと同じ愛ではないのです。あえて言うならそれは、「愛されようとする愛」とでも言うよりしかたがないものです。男性の愛と、女性の愛を、もっと簡明に表現すると、「愛する愛」と「愛される愛」ということになるのです。

                   御木徳近著 「愛」より