随想の細道

日常の感動を感ずるままに綴っています。よろしければ、ご覧ください。

人生の道しるべ

歌ごころ 先生のお話し つづき
歌の題材ーー素材ーーを掴みましたら、今度はその感動を一首の上に鮮明に浮かび上がらせることが肝要です。それは、その素材を明確に掴むということであり、感動の表現に必要な物事だけを明確に掴み取ることであります。それには、叙景などの場合を例にとりますならば、丁度絵をかくような気持ちで、その物事だけをカンバスにおさめる様にして、それ以外のものに心の焦点をそらさぬことです。どこで感じたか、という事にまず注意し、それに忠実になることです。そして、思い切ってそれ以外のものを捨て去ってしまうのです。その次に、どういう感じであったかということをよく反芻してみるのです。その感じをそのままに三十一文字の上に再現するためには、どこで感じたかということに忠実に心を凝らして、そこだけを表現するようにするとよいのです。感じたものがどこからその場所にやってきたか、というようなその来歴や説明は一切不要なのであります。あくまでも、どこで感じたか、その感じたところだけを克明に表現するようにすればよいのであります。

ということで、あとは、また次回まわしとさせていただきます。