とぼしい情操なれど(僕なりの鑑賞)
つれだちて遊ぶ一日ぞ紀の海べ白良の浜の春きよき砂
宿(やど)りしはいづくと知らず父が来し戦(いくさ)さなかの白良の浜べ
いまのわが齢の父とたどられて形見とぞ踏む白良の浜砂
まばゆくは照らぬ春日の満ちわたる白砂浜の踏むに飽かなく
春潮の引く磯づたひ海の草海栗(うに)など手触れこごみゐる妻
窪田章一郎
奥様と、お子様もおられたでしょうか、お父様が戦時中訪れられた砂浜。
その、お父様のお歳になられたのでしょうか、形見とも思えて、しみじみと訪れし砂浜。